生産管理の今後の課題と安全・環境について考え、学ぶ

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1級(4)生産管理の今後の課題と安全・環境マネジメント

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1級(4)生産管理の今後の課題と安全・環境マネジメント

1級(4)「生産管理の今後の課題と安全・環境マネジメント」

生産管理部門に求められることは、生産を行ううえでのさまざまな不確実な情報を適切に取捨選択し計画に落としこむこととともに、さらに範囲を広げて最適な拠点編成やサプライチェーンの構築、各拠点間をつなぐ生産管理システムの構築、生産・販売それぞれの自律的なレベルアップへのサポートといったところまでおよびます。

したがって、生産管理部門の管理者は、生産管理の基本である「計画」「統制」のしかたはもとより、事業構造、事業環境などを見極めたうえで、最適なサプライチェーンマネジメント(SCM)を実施していかなければなりません。

また、近年、生産部門においても重要視されている労働安全衛生管理と環境管理についても、考え方、そのシステム構築が必要となっています。

ここでは、生産管理・労働安全衛生管理・環境管理の目的と概要についての考え方と改革の方法を勉強していきます。

1. 生産管理の目的と役割

経営の多角化、市場ニーズの多様化、技術革新が進む現代においては、短いサイクルで事業や製品の変化が起こり、そのスピードに計画がついていけないと、結果として欠品による機会損失や過剰生産によるデッド在庫の発生といった問題が起こってしまいます。 したがって、計画の部分を担う生産管理の役割はますます重要になっているといえるでしょう。

1-1. 生産管理の目的と概要

生産管理の目的は、ものづくりを行う現場が顧客の要求に応え、なおかつQ(品質)・C(価格)・D(納期)についてより効率的であるよう、計画の最適化とその統制を行うことで、事業を継続・拡大させていくことにあります。

生産管理は、営業活動をとおして顧客からのオーダー情報を受け取り、最終的に製品を顧客に届けるところまでが対象となります。

1-2. 生産管理とキャッシュフロー

経営活動のなかでの現金(キャッシュ)の流れ(フロー)のことをキャッシュフローといいます。

生産活動のなかで、材料を購入し、人を雇ったうえで生産を行い、顧客へ販売しその代金を回収するまでの期間をキャッシュサイクルといいます。

キャッシュフローおよびキャッシュサイクルの改革の視点は、つぎのとおりです。
①情報の流れの改革
②ものの流れの改革
③お金の流れの改革
④最適なサプライチェーンマネジメント(SCM)の構築

生産管理に役立つ実践問題

1. 企業のQCD競争力を高めるために、生産管理に求められる目的を具体的に6つ挙げてみましょう。

2. キャッシュフロー、キャッシュサイクル改革における視点を4点挙げてみましょう。

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2. 生産管理の機能とポイント

これまでの解説において、生産管理の各機能については詳しく説明をしてきたので、ここでは生産管理の各機能を「販売計画・受注管理」「在庫計画」「生産計画・統制」「資材・外注管理」と定義し、それぞれの機能のなかでキーとなるトピックを中心に学習することで、これまでの学習の位置づけの確認と総復習に活用しましょう。

2-1. 販売計画と受注管理

販売計画は生産を行うための基本情報であり、その精度向上がポイントとなります。

需要予測は「時系列分析による予測」と「実需予測」の2種類があります。

受注管理としては、①製番管理(物件管理)、②在庫引当て、③納期回答、④納入進捗管理の4つの管理が重要となります。

2-2. 在庫計画

在庫管理の目的は、「欠品・納期遅れなどによる販売機会損失」と「過剰在庫にともなうリスク」という相反する要素のバランスをとることにあります。

流動数分析を行うことで、在庫低減やリードタイム短縮を検討する際の自社の在庫管理の問題点を洗い出すことができます。

在庫適正化には、自社の製品の特性に応じて、どのように在庫補充を行うかを決定し、理論適正在庫をもとに基準在庫を設定することが必要となります。

EOQは、コストと在庫をバランスさせる最適なロット量を計算するものです。

2-3. 生産計画と統制

生産管理の中心となるのが生産計画と統制であり、PDCAサイクルを確実に回していくことが重要です。

段階的生産計画には、大日程計画・中日程計画・小日程計画があります。

進度管理においては、遅れに対して「応急対策」と「原因の抜本的対策」の両方に取り組む必要があります。

2-4. 資材管理と外注管理

内外作区分は、経営上の決定(特に生産編成)と、余力計画にともなう決定の2つによってなされます。

自社の利益を最大化できるよう、サプライヤーおよび外注企業と友好的な関係を築くことが重要となります。

生産管理に役立つ実践問題

1. 在庫計画の目的について説明しましょう。

2. 資材・外注管理の領域として挙げられる3つの領域とはどのようなものか答えましょう。

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3. サプライチェーンマネジメント(SCM)と今後の課題

生産管理を中心に、その対象範囲を調達~生産~販売のサプライチェーン全体に広げたものが、サプライチェーンマネジメント(SCM)です。

企業を取り巻くサプライチェーン環境が複雑化するなかで、SCMの重要性がますます叫ばれるようになってきています。

ここでは、生産管理部門の管理者として必要なSCMに対する知識とその考え方を用いた改革の方法について学習し、また現代の製造業を取り巻く環境をふまえたSCM・生産管理の課題について学習します。

3-1. サプライチェーンマネジメント(SCM)の意義と対象範囲

SCMとは、「顧客に対する満足度」および「顧客に提供する価値」が最大となるビジネスモデルを構築するために、サプライヤーからエンドユーザーまでのすべてのプロセスにおいて、「プロセスの業務改革」および「プロセスのインテグレーション」を行い、ものと情報の流れの効率化を図り、卓越したサプライチェーンの構築と運用を行う経営管理手法です。

3-2. サプライチェーンマネジメント(SCM)改革

SCM改革においては、「情報の流れの改革」「ものの流れの改革」「お金の流れの改革」がそれぞれ必要となります。

3-3. SCM・生産管理の今後の課題

多様化するニーズへの対応として、製造のフレキシビリティの向上が必要となります。

グローバル化においては、生産における変動を低減する活動と、リードタイムにの実力に応じた適正在庫をもつことでスループット(生産高)を確保するというアプローチを戦略的に使い分けることが必要となります。

SCM・生産管理の人材育成においては、海外で通用し、全体最適を志向する人材の育成が必要となります。

生産管理に役立つ実践問題

1. ERPパッケージに標準機能として備えられているシステムモジュールを6つ挙げましょう。

2. SCM・生産管理の今後の課題の1つである「グローバル化への対応」として求められる考え方を説明してみましょう。

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4. 労働安全衛生マネジメントと安全文化の醸成

職場において、私たちの身のまわりは常に危険と隣り合わせの状態にあります。このため、職場の安全衛生環境づくりにより、事故・災害を未然防止するしくみをつくる必要があります。

そのための具体的手段として、①安全管理システム、そのなかでも代表的なものとしてOHSAS18001の特徴、②リスクアセスメントの基本的ステップと、有効に進めるためのポイント、③ヒューマンエラーの概念と分類、分類別の対策について学習していきましょう。

4-1. 安全活動の活性化

企業が安全管理を効果的に進めていくために、安全面での企業の方針(ポリシー)を定め、その方針に沿って安全目的・目標を設定します。

目的・目標を達成するための活動項目、パフォーマンス指標を定めることで、活動に対する振り返りが可能となります。

安全活動を推進していく際に、活動をより活性化させるための取組みとして、体制整備や日常管理(活動の見える化)が挙げられます。

4-2. 労働安全衛生マネジメントシステムの構築

安全活動を継続的に推進・改善するために、労働安全衛生マネジメントシステムを構築することが重要です。

OHSAS18001は、PDCAサイクルによる予防型防止システムであり、トップの意思に基づき、現場が計画的に安全活動を推進していくことで、自律的に成長していくところに特徴があります。

OHSAS18001を構築することで、各企業は事故の少ない安全な職場の実現にとどまらず、従業員満足度や生産性の高い職場を実現させることができます。

4-3. 安全文化の醸成

安全文化の重要性は、職場の労働災害の防止の基本として、社会全体に広まっています。労働災害の防止のため、組織と個人が安全を最優先する意識や行動をいかに職場に根づかせるかが重要です。

望ましい安全文化は、経営者・管理者・個人それぞれのレベルの各階層がその役割を十分に認識しつつ着実に達成することにより、それらが組織全体レベルで結合・機能する結果として実現されます。

企業は安全最優先の文化の醸成に向け、既存の安全管理体制の実態把握をつうじて組織や作業の問題点・課題を明らかにする必要があります。

生産管理に役立つ実践問題

1. 安全活動におけるパフォーマンス指標について、①予防的指標(活動指標)と②事後的指標(結果指標)それぞれの具体例を3つずつ述べてみましょう。

2. 労働安全衛生マネジメントシステムの特徴を4つ挙げましょう。

3. 安全文化を構成する4要素を挙げましょう。

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5. 環境マネジメントシステムの有効活用

人は、産業革命以来、地球環境に大きなダメージを与え続けてきました。そのひずみが、特に近年は世界規模での環境問題として顕在化しています。

このような状況のなか、各企業は規制基準を守るのはもちろんのこと、体系化された形で積極的に環境管理活動を実施していかなければいけません。

ここでは、環境管理活動のための具体的なポイントとして、法規制の遵守、環境影響評価、環境管理体制の構築、教育について学びます。

5-1. 環境と経営(QCD改善)の両立

環境と経営は相反するものではなく、環境活動をどれだけ経営に役立てるかを考えるべきで、環境と経営の両立を達成するための考え方を「Eco-Ecoマネジメント」と呼んでいます。

環境と経営を両立させるため、工場では資源生産性の向上活動を推進するべきで、資源生産性の向上活動を工場の環境目標に組み込み、会社に合わせて個別の具体的テーマに展開し、各部が協力して徹底的に推進することが重要です。

5-2. 環境マネジメントシステムを有効に活用する方法

環境と経営の両立した状態を達成するために、環境マネジメントシステムを有効活用する必要があり、そのための重要な要素として、以下の3点が挙げられます。
①動きやすいシステムとなっていること
②経営に役立つ環境目標(経営指標)が設定されていること
③トップが自ら先頭に立ち、全社活動とすること

5-3. 環境と経営の両立に役立つツール

企業(工場)が環境と経営を両立させるにあたり、活用できるさまざまなツールが開発されています。環境経営度を評価する代表的なツールとして以下の3つが挙げられます。
①MFCA(マテリアルフローコスト会計)
②LCA(ライフサイクルアセスメント)
③環境効率

こうしたツールを活用して質の高い活動を行い、それが企業全体の他の活動とあいまって、企業イメージの向上にも寄与していることが目指す形といえるでしょう。

生産管理に役立つ実践問題

1. つぎの文章の【 】に適切な語句を当てはめましょう。
ものづくりを効率的に行うことにより、環境と【①】を両立させた状態を達成することができる。環境と①の両立を考えたときに、工場で行う活動は【②】の向上という活動となる。これは、もったいないを示す指標でもある。②は、つぎの式で表すことができる。
②=【③】/資源投入量

2. 経営に役立つ環境目標指標としてわかりやすいものに生産性指標がありますが、これはインプット(投入量)に対するアウトプット(生産量・排出量)の比率で表すことができます。①インプットと②アウトプットの例を2つずつ挙げてみましょう。

3. つぎの文章は、環境と経営の両立に役立つツールであるMFCAについての説明文です。【 】に適切な語句を当てはめましょう。
MFCAは、投入されるさまざまな物質(マテリアル)の流れ(フロー)を調査し、製品になる流れと【①】になる流れを物量と【②】で分析する手法である。
MFCAでは、売れる製品以外の廃棄物・排出物やリサイクル資源になったマテリアルのことを【③】とよび、それを製造するために費やされた原材料やエネルギー費などを見える化する。
MFCAでは、まず対象とする【④】と製品を明確にする。これにより、④別/製品別に③物量等が明らかになり、改善ターゲットを決める有力な情報となる。

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