生産管理の改革と職場の安全衛生・環境管理を学ぶ

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2級(4) 生産管理の改革と職場の安全衛生・環境管理

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2級(4) 生産管理の改革と職場の安全衛生・環境管理

2級(4)「生産管理の改革と職場の安全衛生・環境管理」

部分的に改善効果をあげても、トータル的な立場からみて成果が出なければ、あまり意味がありません。そのためには、必ず投入資源の有効利用を考慮した生産計画の立案が必要となります。

また、現場に密着した生産計画であってはじめて、計画どおりのことが実施しやすいことになります。ところが、計画を立てた時点で、大部分が実現不可能な内容のものも少なくありません。

効率的な面を考慮した実現可能な生産計画を基礎に、計画どおりにものを作りあげていかなければなりません。この計画どおりにものを作りあげていくことは、第一線を指揮する監督者の重要な役割のひとつといえます。

この学習を通じて、計画どおりにものを作りあげるための考え方、管理技術をマスターするとともに、部分思考によるのではなく、少しでもトータル思考に立った問題解決能力を向上していきましょう。

1. 生産管理の概要

製品を作り出すために、人・設備・材料を計画し統制する生産管理の活動は、人間の神経系のはたらきのたとえることができます。

神経は人体のすみずみまでいきわたっており、脳から発せられた情報は神経を経て各器官に伝えられ、また各器官からの情報が脳へフィードバックされることにより、人間は正常な状態を維持しながら自律的に行動しています。

生産活動においても、顧客の要求する機能をもつ製品を作り出すために、組織のなかで、人・設備・材料の情報を巧みにコントロールすることが必要です。

1-1. 生産管理とは

生産管理の目的とは、①適正な量を、②適正な時期に、③もっとも経済的に生産できるように統制することです。

主機能は、①計画、②実行、③統制の3つで構成されています。これは、どんな仕事に対しても発生します。

期待成果としては、
①顧客の受注促進
②(生産)能力の最大限の活用
③(〃)期間速度の向上
④(〃)安定化
⑤(〃)管理費用の最小化が求められます。

1-2. 形態と管理システム

生産形態の種類には、いろいろな分類の方法があり、その形態ごとに管理する特性も変わり、必要となる生産管理システムも変化します。

生産管理システムの代表的なタイプには、受注・連続生産・ロットといった3つの種類があります。それぞれのタイプに合わせたシステムを考えることが必要です。

1-3. 関連部署との連携

生産管理機能は、自部門がしっかりと運営するとともに、他部門との連携が重要となります。主な関連の深い部門は、「販売(営業)」「設計」「購買」「物流」の4部門です。

生産管理に役立つ実践問題

1. つぎの【 】に適切な語句を入れましょう。

・ある時点での能力・在庫・納期のバランスをとった量が【①】な量となる。
・能力に合わせ、日程上の優先順位にしたがってオーダーを完成させることが①な【②】となる。

2. 生産管理業務の機能を3つ挙げましょう。

3. つぎの【 】に適切な語句を入れましょう。

生産管理の期待成果には、
【① 】を促進すること、【②】を最大限に活用すること、【③】を向上させること、【④】の安定化を図ること、【⑤】を最小限にすることなどが挙げられる。

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2. 生産管理の基本機能と管理のポイント

生産管理においては、顧客・営業からの情報である受注・販売情報から始まって、購買・製造・物流といったすべてのプロセスが、全体システムとしてつながってはじめて機能します。

それぞれのプロセス単独では良くても、全体としての調整・統制に問題があれば、生産管理システムとしての機能は半減してしまうし、その逆についても同じことがいえます。

ここで、各プロセスの重要事項を中心に、全体としての機能発揮のための要点についてもおさらいしておきましょう。

2-1. 販売計画・受注管理

販売計画は、損益分岐点分析と市場の需要動向、実際の顧客からの受注情報の積上げの3つにより立案します。

需要予測は、時系列分析もしくは実需予測に基づく積上げにより行います。

2-2. 在庫計画

在庫とは、企業の生産活動のなかで原材料→製品→換金するまでの物品のことをいいます。

在庫は、需要変動の吸収や納期・生産期間の短縮といった機能と、多くもちすぎることによる弊害(在庫コストやキャッシュフローの悪化等)があります。

在庫はその中身を区分し、構造化してとらえることにより、適正在庫がわかるようになります。

2-3. 生産計画

生産計画の立案は、情報の整理や計算でなく、必ず投入資源の有効利用を考える(立案する)こと、納期・生産能力・在庫の3つのバランスを上手にとることです。

計画立案のポイントは、目的に合った計画で、つぎの点を考慮することです。
・レベル別に計画する
・サイクルは短く
・リードタイムは短く

2-4. 資材・外注管理

外注の目的・役割は、加工技術・コスト・負荷の変動による能力のクッション的利用から、製造方式の変化(自動化など)による外注利用へと変化しつつあります。自社の生産体制を十分検討したうえで、外注利用を考えることが重要です。

外注管理のポイントは、単価設定や納期管理に加えて、サプライヤーを巻きこんだ改善の実施が必要となってきています。

生産管理に役立つ実践問題

1. 「需要予測の方法」を2つ挙げてみましょう。

2. つぎの文章は「生産計画の立案」について述べたものです。正しいものには〇を、誤っているものには×をつけましょう。
①「何を、いくつ、どこで、いつまでに」といった情報を整理したり計算することである。
②納期、生産能力、在庫の自由度があってこそ、効率的な立案ができる。
③目標値を与えることである。
④立案のなかには、必要な対策やアクションが明確化されていなければならない。
⑤計算→立案…といった過程を繰り返し、最終的に固定した状態のものをいう。

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3. 生産管理の改革

生産管理システムを考える場合には、その時代における社会環境で要求される課題は何かを追求し、それに対応して取り組むべき課題を明確化し、課題解決につながるようなシステムを考えなければなりません。

3-1. 求められている課題

市場の要求が多様化し、「多品種少量・短納期化」た進み、そうしたなかでは情報システムの有効な活用が重要となっています。

グローバル化が進むことにより複雑化する環境の中では、柔軟性に富んだ弾力性のある生産システムを確立するとともに、生産プロセス全体のバランスをとりながら継続的な改善を進めていくことが求められます。

3-2. 業務プロセス別の改善手法

計画プロセスにおいては、「計画性の強化」として、現場に密着した計画、計画対象範囲の拡大、計画サイクルの短縮が求められます。

製造プロセスにおいては、どんなものを、どんなタイミングで顧客に提供できるか、つまり製造期間の短縮が重要な改善ポイントです。

購買プロセスにおいてはサプライヤーや外注業者を巻きこんだ調達リードタイムの短縮、物流プロセスにおいては物流コストまで考慮した生産計画の立案が求められます。

3-3. 情報システムの活用

MRPシステムを中心として、受注~出荷までのプロセスを対象とした情報システムが生産管理情報システムといわれます。

情報システム活用の有効性を知ったうえで、自社の業務プロセスと照らし合わせてどう活用すべきかを検討する必要があります。

生産管理に役立つ実践問題

1. 以下の「製造期間の構成」について、【 】に適切な語句を当てはめましょう。
製造期間=【①】+【②】+【③】+【④】+【⑤】

以下の2.は 「調達リードタイムの短縮に向けた購買プロセスの改善の具体的手法」3.は「MRPシステム」について述べたものです。【 】に適切な語句を当てはめましょう。

2. 相手企業の【①】の改善による製造期間短縮や【②】方法の変更といった施策を、【③】や【④】と一体となって取り組んでいくことが重要です。

3. 新製品の【⑤】に合わせて、それに必要な部品や構成品の【⑥】を計算し、新製品の【⑦】に間に合うように、これらの部品や構成品の⑦や【⑧】を作成する計画システムのことをいいます。

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4. 職場の安全衛生環境づくり

職場において私たちの身の回りは常に危険と隣り合わせの状態にあります。このため、職場の安全衛生環境づくりにより、事故・災害を未然防止するしくみをつくる必要があります。
そのための具体的手段としては、
・安全管理システム、そのなかでも代表的なものとして「OHSAS18001」の特徴
・リスクアセスメントの基本的ステップと、有効に進めるためのポイント
・ヒューマンエラーの概念と分類、分類別の対策
などがあります。

4-1. 事故・災害の未然防止

事故・災害の未然防止のために有効なしくみとして、安全管理システムの構築、リスクアセスメントの実践、ヒューマンファクター分析が挙げられます。

安全管理システムは安全を継続的に維持・管理していくための、トップ自らが主導する体系的なしくみです。代表的なものとして、OHSAS18001があります。

リスクアセスメントは、災害が起きる前に危険源を特定し、低減・管理する、リスク分析と評価の活動です。明確な手順が存在し、その手順に沿って漏れなく体系的に改善することを目指しています。

ヒューマンファクター分析手法は、人が危険源に接触し誤った行動をとる可能性を排除していくためのものです。まず起こった事実の背後を正確に把握し、そこに潜む背後要因を人間の能力や基本的特性から科学的に分析します。

4-2. リスクアセスメントの実践

リスクアセスメントの基本的ステップとしては
・業務活動の分類
・危険源の特定
・リスク見積り
・許容可能か否かの決定(評価)
・リスクコントロール実行計画の作成
・実行計画の妥当性の見直し
があります。

リスクを軽減するための改善を効果的に進めるためには、事故事象に適した分析手法を用いて根本原因を追究することと、自由に改善発想をすること、それに基づき綿密な実行計画を立案することが重要になります。

失敗させないためには、全員参加型の活動により決められた手順に則りさまざまな角度で現場を見つめ、抜本対策を考えていくことが求められます。

4-3. ヒューマンエラーの対策

ヒューマンエラーは、大きく、過失行為と意図的行為に、過失行為はさらに「記憶」「認知」「判断」「行動」エラーに分かれます。要因を正しく把握し、要因に合った対策を検討することが重要になります。

ヒューマンファクター分析は、表面化したエラーの事実だけでなくその背後に潜む要因を人間の能力等の視点から詳細に分析していくことに特徴があります。

ヒューマンファクター分析を通じ、エラーの根本原因を特定し、再発防止策を講じる際は、「誰がやったのか」という責任追及型でなく、「なぜ起こったのか」という原因追及型の発想をすることが必要となります。また、当事者エラーの背後に潜む大きな組織エラーをとらえ、対策を講じることが有効です。

生産管理に役立つ実践問題

1. OHSAS18001の特徴を4点挙げてみましょう。

2. リスクアセスメントにおいて、①根本原因を追究する手法、②改善策を立案する際の改善発想を支援する手法をそれぞれ2つずつ挙げてみましょう。

3. ヒューマンエラーのうち過失行為の対策について、6つの方向性を順番に挙げてみましょう。

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5. 環境管理の概要

人類は、産業革命以来、地球環境に大きなダメージを与え続けてきました。そのひずみが、特に近年は世界規模での環境問題として顕在化してきました。

このような状況のなか、各企業は規制基準を守るのはもちろんのこと、体系化された形で積極的に環境管理活動を実施していかなければなりません。

環境管理活動のための具体的なポイントとして、法規制遵守、環境影響評価、環境管理体制の構築、環境教育について述べたうえで、ISO14001についてその概要をつかみましょう。

5-1. 概要

人間活動による弊害が最初に認知されるようになったのが、高度経済成長期の公害問題です。法規制の強化や公害防止技術開発により、この流れを食い止めました。

1970年代に入ると、地球規模でのさまざまな環境問題が注目されはじめました。公害問題に比べて被害が大きく広範囲に広がる環境問題を食い止めるため、法規制のみならず地球全体が協力していかなければなりません。

5-2. 環境管理とは

環境管理とは、企業が組織内の体系化した形で環境保全に関するPDCAサイクルを回していくことです。

まず、法規制の管理が求められます。具体的には、自社が遵守すべき法規制を特定し、遵守事項を正確に把握し遵守するとともに、常に最新情報を入手しておく必要があります。

環境影響評価を通じて著しい環境側面を特定し、重点的に管理していくことが求められます。環境影響評価の活動を本業とリンクさせ、環境にも経営にも良い活動を進めていくことがカギとなります。

組織全員が力を合わせて環境管理を推進していくために、環境管理体制を敷く必要があります。経営トップのコミットメントのもと、環境管理責任者が実行権限を負い、そのもとに各部門の環境責任者がつくのが一般的です。

5-3. 環境管理システム

ISO14001は、PDCA型のマネジメントシステムで、環境管理に最低限必要なしくみを要求事項として定めています。これは、強制されるものではなく、環境管理を実施したい企業が自主的に構築、運用するための規格です。

生産管理に役立つ実践問題

1. 地球規模の環境問題として主なものを5つ挙げてみましょう。

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